日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
生検後に自然消退した縦隔リンパ管腫の2例
由良 冴希子竹中 一正三宅 正幸土屋 恭子
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2018 年 32 巻 1 号 p. 117-122

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抄録

鏡視下生検施行後に無治療で自然消退した極めて稀な縦隔リンパ管腫の2例を経験した.症例1は68歳,男性.左上縦隔の総頚動脈および鎖骨下動脈を巻き込む分葉状腫瘤の診断を目的に胸腔鏡下腫瘍生検を施行した.術後8ヵ月目のCTで腫瘤はほぼ消失した.症例2は58歳,女性.右肺上葉から肺門・縦隔にかけて一塊となった病変に対して縦隔鏡下縦隔腫瘍生検を施行した.術後6ヵ月目のCTで肺野および肺門・縦隔の陰影はほぼ消失した.病理組織学的検査で2例ともに海綿状リンパ管腫と診断された.成人の縦隔に発生したリンパ管腫は,腫瘍の外科的摘出が治療の原則とされているが,症例によっては生検診断後の経過観察も一つの選択肢になると考えられた.

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