症例は3歳男児.胎児期より胎児エコーで肺分画症を疑われていた.出生時より呼吸状態は安定しており,重篤な合併症もなかった.そのため,麻酔科医師と相談して,体格的に胸腔鏡下手術が可能な分離肺換気を安全に行える時期まで児の成長を待ち,待機的に手術を行う方針としていた.胸部CTでは下行大動脈から左肺底区に流入する1本の異常血管を認め,Pryce III型の肺葉内肺分画症と診断した.手術目的に当科入院となった.手術は完全鏡視下左下葉切除および異常動脈切断術を施行した.幼児での肺葉内肺分画症に対する完全鏡視下手術は,分離肺換気の困難さや,working spaceの狭さなどから,難度の高い手術となるが,美容上や疼痛管理の面,また,将来的な胸部変形の予防の面から有用な術式であると考えられたため報告する.