2018 年 32 巻 2 号 p. 187-191
症例は50歳,男性.感冒様症状を契機に近医を受診した際,胸部異常陰影を指摘され,当科紹介となった.胸部CTで左後縦隔T4/5レベルの椎間孔から脊柱管内に伸展する4 cmの腫瘤を認めた.MRIではT1強調像で低―等信号,T2強調像で均一な高信号であった.画像よりDumbbell型神経鞘腫を疑い,治療目的に手術加療を行う方針となった.手術はまず,整形外科手技にて腹臥位でTh4椎弓を切除し,腫瘍が硬膜への浸潤がないことを確認した.Th4神経根を切離し,腫瘍を脊柱管から遊離した.次に当科にて左胸腔鏡下アプローチで腫瘍を摘出した.腫瘍と交感神経幹,第4肋間神経との剥離は困難であり合併切除を行った.腫瘍は易出血性であったが出血量は120 ccであった.病理組織診断は海綿状血管腫であった.椎間孔から脊柱管内伸展を伴う血管腫に対して神経根を先に処理することで安全に摘出術を施行し得た.