症例は46歳男性.これまで健診で貧血を指摘されたことはあったが,特に症状がないため放置していた.2ヵ月前よりふらつきを自覚し近医を受診.精査にて,低γグロブリン血症,赤芽球癆と診断され,また,胸部CT上,前縦隔に長径36 mmの境界明瞭な腫瘍性病変を認めた.前縦隔腫瘍に対する手術目的で当科紹介となり,胸腔鏡下胸腺摘出術を施行した.病理組織検査でWHO分類type B1の胸腺腫と診断され,低γグロブリンと赤芽球癆との合併から,赤芽球癆を合併したGood症候群と診断した.術後は感染の合併は認めなかった.現在,血液内科でシクロスポリンの投与を行い,貧血の改善を認めている.赤芽球癆を合併したGood症候群の本邦での報告は1990年以降6例のみであり稀である.免疫不全を伴うこの疾患では,術後の感染症は重篤な合併症の1つであり,アプローチの選択は重要である.Good症候群は予後不良疾患であり,慎重な経過観察が必要である.