2018 年 32 巻 5 号 p. 600-605
Streptococcus pyogenesは,劇症型溶連菌感染症が第5類感染に指定されており,致死的な感染を起こしうる細菌である.今回,Streptococcus pyogenesによる急性膿胸の2例を経験した.症例1:36歳,女性,既往なし.嘔吐,下痢が初発症状,菌血症に至った後に右急性膿胸,縦隔炎を来した.当院に搬送後,胸腔鏡下右膿胸腔洗浄掻爬術,縦隔ドレナージを施行,良好な経過を得た.症例2:32歳,女性,既往は子宮筋腫のみ.胃腸炎の経過中に菌血症,右急性膿胸を発症した.胸腔ドレーンが挿入されたが,全身状態が悪化し当院へ紹介,胸腔鏡下膿胸腔洗浄掻爬術を施行し,良好な経過を得た.Streptococcus pyogenesによる膿胸は死亡例も報告があり,重症化する危険性が高いが,早期の胸腔鏡手術が有効であった症例を2例経験したので文献的考察を加えて報告する.