日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
Streptococcus pyogenesによる急性膿胸に対して胸腔鏡下膿胸腔洗浄掻爬術が有効であった2例
有本 斉仁関原 圭吾横手 芙美長阪 智喜納 五月
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 32 巻 5 号 p. 600-605

詳細
抄録

Streptococcus pyogenesは,劇症型溶連菌感染症が第5類感染に指定されており,致死的な感染を起こしうる細菌である.今回,Streptococcus pyogenesによる急性膿胸の2例を経験した.症例1:36歳,女性,既往なし.嘔吐,下痢が初発症状,菌血症に至った後に右急性膿胸,縦隔炎を来した.当院に搬送後,胸腔鏡下右膿胸腔洗浄掻爬術,縦隔ドレナージを施行,良好な経過を得た.症例2:32歳,女性,既往は子宮筋腫のみ.胃腸炎の経過中に菌血症,右急性膿胸を発症した.胸腔ドレーンが挿入されたが,全身状態が悪化し当院へ紹介,胸腔鏡下膿胸腔洗浄掻爬術を施行し,良好な経過を得た.Streptococcus pyogenesによる膿胸は死亡例も報告があり,重症化する危険性が高いが,早期の胸腔鏡手術が有効であった症例を2例経験したので文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top