日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
気胸術後に発症した血栓性血小板減少性紫斑病の1例
太田 紗千子五明田 匡玉里 滋幸吉村 誉史寺田 泰二
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 32 巻 5 号 p. 617-622

詳細
抄録

血栓性血小板減少性紫斑病(Thrombotic thrombocytopenic purpura以下,TTP)はADAMTS13活性が著減することで惹起される細小動脈における血小板血栓と溶血性貧血を特徴とする全身性の重篤な疾患であるが,呼吸器外科領域で術後TTPを発症することは非常に稀である.今回,気胸術後にTTPを発症し救命しえた1例を経験した.症例は62歳,男性.気胸に対し,胸腔鏡下に肺部分切除術を施行した.術翌日に血小板減少を認め,術後2日目に血小板は更に減少し,発熱も認めた.術後3日にDICと診断し加療を進めるも効果はなく,その後急激な貧血の進行と腎機能障害を認めた.術後5日目に,せん妄が出現したため経過よりTTPと診断し,血漿交換とステロイドパルスを開始したところ速やかな血小板数の回復,精神症状の改善を得た.血漿交換を5日間施行し,術後52日目に軽快退院した.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top