日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
呼吸不全を来したSwyer-James症候群に対して手術を施行した1例
田内 俊輔内田 孝宏杉山 博信戸部 智
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2018 年 32 巻 7 号 p. 842-846

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抄録

症例は65歳男性.右上葉肺の過膨張に起因すると考えられる胸部レントゲン上の右肺野の透過性亢進を指摘されており,Swyer-James症候群として在宅酸素療法を施行しながら経過観察されていた.1週間前より体調不良を呈し呼吸苦が強くなったため緊急入院となった.II型呼吸不全の急性増悪によるCO2ナルコーシスと診断され,人工呼吸器管理となったが改善を認めなかった.右上葉肺の過膨張の進行による健側肺の圧迫が原因と考えられたため,手術を施行し責任病変である右肺上葉を切除した.術後は徐々に呼吸状態を含めた全身状態の改善を認め独歩退院となった.現在外来通院中であるが術側の残存肺も拡張改善を認めており,安静時の酸素吸入は不要となっている.Swyer-James症候群は保存的療法で加療されることが多いが,今回手術療法により呼吸状態が改善した症例を経験したため報告する.

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