日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
左上葉管状切除を要した気管支内腔進展を伴う術後再発胸腺腫の一例
吉田 美由紀宮原 聡山本 玲央那佐藤 寿彦白石 武史岩﨑 昭憲
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 34 巻 6 号 p. 578-581

詳細
抄録

胸腺腫は,心膜や肺などの近接臓器への直接浸潤がしばしば認められるが,気管支内腔を中枢に向かって進展することはまれである.今回我々は,胸腺腫術後11年で左上葉部分切除断端に再発を認め,気管支内腔進展を来したことから,左上葉管状切除を必要とした症例を経験した.59歳男性で,11年前に他院で胸腺腫type B3に対して胸腺・胸腺腫摘出術,左上葉部分切除術および横隔神経合併切除を施行された.咳嗽を主訴に近医を受診し左上葉の8 cm大の腫瘤を指摘され,原発性肺癌の疑いで当科紹介となった.左上葉気管支はポリープ状の腫瘍により閉塞し,気管支鏡生検では診断が付かず,診断と治療のために左上葉切除を行った.術中迅速病理検査で胸腺腫再発と診断され,上葉気管支断端が陽性であったことから管状切除を行い,換気後に肺動脈の屈曲を認めたために肺動脈形成を追加した.

著者関連情報
© 2020 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top