日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
デジタル式ドレナージシステムを用いた術後早期に検出可能な遷延性肺瘻の予測因子
寛島 隆史大村 彰勲田中 諒木村 亨馬庭 知弘岡見 次郎
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キーワード: トパーズ, 遷延性肺瘻
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2021 年 35 巻 7 号 p. 756-762

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抄録

遷延性肺瘻(Prolonged air leak;PAL)は,肺切除後に最も多く経験する術後合併症だが,術後早期にPALを予測することは容易ではない.2019年8月から2020年8月に当院で肺切除術後にデジタル式ドレナージシステムThopaz(トパーズ)を用いた279例のうち,PAL 7例を含む術後エアリークを認めた57例を対象とした.エアリークデータを後方視的に解析,術後早期に検出可能なPAL予測因子を検討した.術後12時間に観察されたエアリーク量の最大値が800 mL/min以上の症例と,術後0から6時間までと術後6から12時間までのエアリーク量平均値の比が1.0以上の症例においてPALが有意に多かった(いずれもp<0.001).トパーズで検出される術後12時間のエアリーク量と経時変化はPAL予測に有用であり,エアリークに対する治療介入を判断する指標となりうる.

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