日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
転移性肺腫瘍との鑑別が困難であったIgG4関連肺疾患の1例
中村 勝也生田 安司内山 明彦
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2021 年 35 巻 7 号 p. 807-810

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抄録

症例は79歳,男性.2020年1月に直腸癌に対し,腹腔鏡下直腸低位前方切除術(D3郭清)を施行され,外来経過観察中であった.2020年8月の術後7ヵ月後の胸部CTで術前には認められなかった辺縁不整な30 mm大の結節を左肺下葉S10に認めた.気管支鏡検査を施行したが,確定診断には至らなかった.転移性肺腫瘍が疑われ診断確定目的に胸腔鏡下左肺下葉楔状切除術を施行した.病理組織診では著明な線維化とIgG4免疫染色陽性の形質細胞浸潤を認め,IgG4/IgG陽性細胞比は約55%であった.病理所見よりIgG4関連肺疾患と診断した.多臓器病変の存在が懸念されたが検索した範囲内では異常所見を認めず,肺単独発症と考えられた.

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