日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
鎖骨上窩リンパ節に転移を認めた限局性悪性胸膜中皮腫の1切除例
長 靖加地 苗人野村 俊介本橋 雄介岡本 賢三
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2021 年 35 巻 7 号 p. 811-818

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抄録

症例は55歳,男性.主訴は左肩から肩甲骨の疼痛.CTにて左肺尖部に腫瘍を認め,PET-CTでSUVmax 9.74と高集積を認めた.CTガイド下腫瘍生検では腺癌であり,左上葉肺癌cT3N0M0 cStage IIBの診断となった.手術は,左上葉切除+第1-3肋骨合併切除+ND2a-1+左鎖骨上窩リンパ節郭清を施行した.術後病理検査では,腫瘍径6.0×5.0×3.6 cmであり,壁側胸膜部を中心として肋骨を含む胸壁および肺への浸潤を認めた.組織像では,索状や管状配列が主体で乳頭状配列も認める上皮様腫瘍細胞浸潤性増殖であり,間質増生も伴っていた.免疫染色の結果,上皮型限局性悪性胸膜中皮腫の診断となった.リンパ節転移は左鎖骨上窩リンパ節にのみ認め,pT4N2M0 pStage IIIBの診断となった.術後9ヵ月経過し再発の徴候なく経過観察中である.

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