日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
断続的な嗄声を呈した迷走神経由来神経鞘腫に対する胸腔鏡下切除の一例
東山 智彦水口 真二郎髙濱 誠古河 奈央簡野 泰成山本 良二
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2021 年 35 巻 7 号 p. 851-856

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抄録

神経鞘腫は縦隔腫瘍の約20%を占めるが迷走神経由来の神経鞘腫はまれである.今回大動脈弓下に存在し,断続的に嗄声症状を呈しFDG-PETで高集積を示した迷走神経由来の神経鞘腫に対して胸腔鏡下に切除し得た一例を経験したため報告する.症例は78歳女性.2020年4月CT検査で60 mm大の縦隔腫瘍を認めた.同部位を超音波気管支鏡ガイド下に生検し,神経鞘腫の診断を得た.神経圧迫症状を疑う嗄声症状やFDGの高集積を認め悪性の可能性も考慮し,神経鞘を含めた切除を行った.病理組織学的には良性神経鞘腫の診断であった.術後嗄声症状は消失した.迷走神経由来で周囲重要臓器に広く接するような神経鞘腫においても胸腔鏡下に切除可能であると考えられた.

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