日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
気管支形成術後縫合不全による有瘻性膿胸に対し遊離腹直筋皮弁充填術を行った1例
井澤 良介田中 雄悟清水 奈保子田村 亮介大橋 千裕眞庭 謙昌
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2021 年 35 巻 7 号 p. 846-850

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抄録

症例は63歳,男性.30年前に胃潰瘍で幽門側胃切除術の既往がある.2年前に前医で右下葉肺癌に対し右下葉スリーブ切除術を施行された.術後病理診断で扁平上皮癌(pT2aN1M0 Stage IIB)と診断されたため,シスプラチン+ドセタキセルによる術後化学療法を4コース施行された.術後9ヵ月目に気管支形成吻合部の縫合不全による有瘻性膿胸を発症したため開窓術が施行された.膿胸腔は縮小したが気管支縫合部の瘻孔は徐々に拡大した.毎日のガーゼ交換を要し呼吸困難感の増悪および発声困難も出現したため,加療目的で当院に紹介となった.手術は遊離腹直筋皮弁充填術を施行した.左下側臥位にて遊離腹直筋皮弁を作成し下腹壁動静脈を肩甲下動静脈に顕微鏡下に吻合した.筋皮弁は気管内腔を閉塞しないように配慮しながら死腔に充填した.術後気管支鏡検査にて充填物による気道閉塞は認めなかった.術後2年が経過しているが経過は良好である.

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