日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
大腸癌肺転移との鑑別を要した肺ランゲルハンス細胞組織球症の1例
山本 沙希森田 理一郎水谷 栄基児玉 真阿部 佳子矢澤 卓也
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2022 年 36 巻 7 号 p. 754-759

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抄録

ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)はLangerhans細胞の浸潤,増生を主体とする稀な肉芽腫性疾患であり,成人では肺病変が多いが,全身発症も認める.今回,大腸癌術後に出現した肺結節がLCHであった症例を経験したので報告する.60歳代,男性.喫煙歴 20本/日×46年.5年前に大腸癌に対し大腸切除術を施行し,1年前より胸部CTで肺に多発結節を認め,肺転移疑いで胸腔鏡下肺生検を施行した.組織学的には,間質の線維化を背景に炎症細胞の集簇を認め,免疫染色ではCD1a陽性であり,LCHと診断した.その後皮膚生検でもLCHの所見を認めた.外来受診を自己中断するまで2年間は結節に変化なかった.LCHは画像上様々な所見を認め,画像所見での鑑別は困難であり,確定診断には胸腔鏡下生検が有用と考えられた.

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