日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
左側発症した月経随伴性気胸において肺瘻部位とその病理学的証明ができた1例
金野 智明二川 俊郎鈴木 健司
著者情報
キーワード: 左側, 月経随伴性気胸, 肺瘻
ジャーナル フリー

2022 年 36 巻 7 号 p. 760-765

詳細
抄録

症例は38歳女性,特記すべき既往はなし.月経翌日に胸部違和感があり,前医で左気胸を指摘され当院へ紹介となった.外来の通院加療で改善せず,入院で胸腔ドレナージを施行したが,肺瘻が持続するため胸腔鏡手術の方針とした.胸腔内所見は術前CTで確認された左S5の単発ブラ病変からの肺瘻が確認され,それ以外は横隔膜も含めて異常所見は認めず,ブラのみを部分切除した.病理では検体中央部の臓側胸膜肥厚部に短紡錘形~類円形小型細胞を認め,各種免疫染色(CD10,ER,PgR)がそれぞれ陽性所見を示し月経随伴性気胸と診断した.術後にホルモン療法を追加し,術後8ヵ月現在再発はなし.左側発症の月経随伴性気胸を病理学的に証明できる例は少なく,今回は鏡視下に肺瘻を伴う単発病変部位が特定され,病理学的な診断と治療ができたので報告する.

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top