日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
CTガイド下肺生検術で大量血胸に至り緊急手術を要した1例
岩﨑 雅濱田 哲松元 亮二井伊 庸弘
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2022 年 36 巻 7 号 p. 785-790

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抄録

症例は慢性心房細動と特発性間質性肺炎,慢性閉塞性肺疾患の既往を有し,プレドニゾロン及びアピキサバン内服中の81歳,男性.胸部CTで左下葉に1.7 cmの結節を認め,CTガイド下生検を施行した.アピキサバンは検査の24時間前に中止し,18ゲージの生検針にて1回穿刺した.穿刺時に気胸が発生し,12 Frアスピレーションチューブを挿入して検査を中止した.3時間後にショックバイタルになり,胸部単純X線及びCTで左大量血胸が確認され,緊急で胸腔鏡下血腫除去術及び止血術を行った.約600 mLの血液を除去し,左下葉穿刺部から非拍動性出血が認められ,焼灼凝固にて止血した.周術期合併症なく術後9日目に退院した.血胸はCTガイド下生検後の非常に稀な合併症であり,肋間動静脈や内胸動静脈に起因することが多いが,本症例のように肺実質から出血することがあるため.CT下生検後は血胸の発生も念頭におく必要がある.

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