2022 年 36 巻 7 号 p. 791-798
肺類基底細胞型扁平上皮癌(basaloid squamous cell carcinoma;BSC)は肺癌取扱い規約第8版で扁平上皮癌の亜型に分類された比較的稀な組織型であり,不明な点も多い.手術でBSCと診断された3例を経験したので報告する.症例1は66歳,男性.左肺S9に腫瘤を指摘され経気管支生検で限局型小細胞肺癌と診断された.左肺下葉切除を行った結果,BSCと診断された.術後6ヵ月で再発を認めたが化学療法が奏功している.症例2は72歳,男性.左肺S3に結節を指摘され経気管支生検で非小細胞肺癌と診断された.左肺上葉切除を行った結果,BSCと診断され,無再発生存中である.症例3は69歳,男性.間質性肺炎加療中の定期検査で左肺S6に結節を指摘された.CTガイド下生検で肺扁平上皮癌と診断され,左肺S6区域切除を行った結果,BSCと診断された.術後は間質性肺炎の急性増悪のため永眠された.