2022 年 36 巻 7 号 p. 805-808
症例は50代,女性.咳嗽を主訴に近医を受診し胸部異常陰影を指摘され当院紹介受診.胸部CTで左胸腔を占拠する15 cmの腫瘤を認めた.腫瘤に対してCT下生検施行後,胸腺癌,肺癌などを疑い左側方開胸で手術を施行した.腫瘍は周囲臓器との癒着や浸潤を認めず,術中所見から胸腺原発と判断し,胸腺左葉と右葉の一部とともに腫瘍は完全摘出した.病理組織診断は胸腺腫,WHO分類type B3,正岡分類I期で,術後24ヵ月経過しているが再発は認めていない.巨大胸腺腫は報告が少なく,側方開胸で切除した1例を経験したので報告する.