日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
前立腺癌根治的全摘術後のPSA再発によって発見された孤立性肺転移の一切除例
佐藤 修二稲垣 卓也岡本 友好大塚 崇
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2022 年 36 巻 7 号 p. 815-820

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抄録

症例は82歳男性.75歳時に前立腺癌に対して根治的前立腺全摘術を施行された.術前の血清PSA値は6.71 ng/mLと高値であったが,術後は0.1 ng/mL以下を維持していた.しかし術後4年8ヵ月目に0.27 ng/mLと上昇しPSA再発と診断された.術後5年9ヵ月目には胸部CT検査で右肺下葉に10 mm大の結節が認められ,術後7年2ヵ月目には14 mm大に増大したため手術適応とした.前立腺癌肺転移を疑ったが原発性肺癌の可能性も考慮して胸腔鏡下右下葉切除,リンパ節郭清術を施行した.病理組織所見は腺癌の形態を示し,免疫組織化学染色でPSA陽性が認められたため前立腺癌肺転移と診断された.

前立腺癌の孤立性肺転移は稀であるが,血清PSA値のモニタリングはその発見に有用であり,根治的前立腺全摘術後に出現した肺結節に対してはPSA 0.2 ng/mL以上をPSA再発として,肺転移を疑うことが重要である.

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