日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸膜の多発微小結節を認めアクロモバクター属の日和見感染を疑った気胸手術の一例
小島 史嗣難波 俊文森 信好鹿股 直樹板東 徹
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2023 年 37 巻 5 号 p. 461-465

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抄録

症例は40代の白人男性.X-7年,両側ニューモシスチス肺炎を契機に後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome,AIDS)と診断された.治療経過良好であったが,X年5月,初発の左気胸を生じ当科を受診した.胸腔ドレナージを行ったが,肺の完全な再膨張が得られず,X年7月に手術を行った.術中所見では,肺尖部の囊胞から少し離れた位置の気漏と,臓側胸膜・壁側胸膜全体に散在する微小結節を認めた.結節の細菌培養検査ではAchromobacter Sp.が陽性となった.病理組織診では,結節の表層は中皮細胞で覆われ,内部には炎症細胞浸潤や線維芽細胞の増生がみられた.ニューモシスチス肺炎に関連した気胸は,急性期に重症化することが知られているが,遠隔期に治療経過良好なAIDSを背景とし,アクロモバクター属の日和見感染との関連が示唆された症例は稀と考え報告する.

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