2025 年 39 巻 1 号 p. 12-17
気管支動脈蔓状血管腫および気管支動脈瘤は血管の形態異常であり,慢性炎症を契機に血管が新生することで発症し得る病態とされ,稀な疾患である.今回,我々はこの2つの疾患を合併した症例を経験したので報告する.症例は49歳,男性.左胸部痛を主訴に近医を受診し,気管支動脈蔓状血管腫,左肺内動静脈奇形の診断で経過観察となっていたが,症状が持続するため当院に紹介受診となった.精査では,気管支動脈蔓状血管腫に縦隔型気管支動脈瘤を合併しており,気管支動脈瘤切除を施行,気管支動脈蔓状血管腫と左肺内動静脈奇形は経過観察とした.我々が渉猟した限り,これらが合併する症例報告は少ない.気管支動脈蔓状血管腫は現時点で明確な診断基準,治療方法が確立されておらず,症例の集積が必要と思われる.