日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
自然退縮後に再増大した肺多形癌の1例
大嶺 律幾島 拓也飯村 泰昭瀬川 惠子久保 輝文
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2025 年 39 巻 4 号 p. 376-382

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抄録

原発性肺癌の自然退縮は稀である.症例は60歳台男性.悪性リンパ腫に対して同種造血幹細胞移植後,フォローCTで右肺下葉結節を認め,増大傾向にありX年8月に当院紹介となった.胸部CTで右S9に25 mmの結節を認め,経気管支鏡生検では肺癌が疑われたが確定診断には至らなかった.手術を予定したが10月のCTで腫瘍は13 mmに縮小しており手術は中止とした.12月にはさらに10 mmに縮小しており前医での経過観察の方針とした.翌年4月に腫瘍は38 mmに再増大し再度紹介となり,非小細胞肺癌の診断で右肺中下葉切除術を施行し肺多形癌と診断された.初回の生検検体と手術検体でCD8陽性T細胞の高度浸潤を認めた.HLA classIは初回の生検検体で高度発現し,手術検体では発現が低下していた.自然退縮および再増大をきたした要因として免疫学的機序の関与が推察される興味深い症例と考え報告する.

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