耳鼻と臨床
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原著
Upbeat nystagmus を認めた小児平衡障害の 1 例
大門 康子上野 哲子菅村 真由美久保田 由紀子今村 明秀原田 博文坂田 俊文中川 尚志久保 和彦
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2013 年 59 巻 5 号 p. 201-208

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抄録
持続する発熱と体幹失調を主訴に受診し、upbeat nystagmus を認めた小児平衡障害の 1 例を経験したため、文献的考察を加え報告した。これまでに upbeat nystagmus は脳幹障害での報告が多い。本症例は MRI の画像所見から急性小脳炎と診断された。しかし小脳障害では、通常 downbeat nystagmus が起こる。これは小脳片葉からの前半規管から上直筋へ向かう経路の抑制が障害されて脱抑制されるために、前半規管から上直筋へのトーヌスが増すことで眼球が上方へ偏移し、そのために脳幹の垂直積分器が動いて急速に下方に眼球が向かう、と説明されている。本症例においては、小脳片葉障害により前庭眼反射の不均衡が生じ、炎症性に小脳のプルキンエ細胞が興奮し過抑制が起こり upbeat nystagmus を生じたのではないかと推測した。
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© 2013 耳鼻と臨床会
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