日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
アプローチに工夫を要した左肺尖部巨大肋骨原発線維性骨異形成の1例
古堅 智則照屋 孝夫當山 昌大稲福 斉古川 浩二郎
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2025 年 39 巻 6 号 p. 488-494

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抄録

58歳,男性.左前胸部の硬結を主訴に受診した.胸部CTで左第2肋骨より発生し肺尖部を占拠する径12×9 cmの腫瘤を認め,PET-CTで同部位にFDG異常集積を伴っていた.CTガイド下生検で線維性骨異形成の診断となり手術の方針となった.アプローチは先に後側方切開で行い,その後,仰臥位で前方L字型切開を追加し,腫瘍を含めた第1,2,3肋骨切除術を施行した.術後病理検査でも線維性骨異形成の診断で,悪性転化は認めなかった.肋骨原発線維性骨異形成は巨大化することがあり,また上位肋骨発生の症例では切除に難渋することもある.通常の肺尖部肺癌とは異なり骨性胸郭外にも腫瘍が大きく進展するため,術中に鎖骨下腔の視野の展開が困難となることが予想される.このため,前方L字型切開を併用するアプローチを用いる場合には注意を要する.一方,悪性転化や胸郭出口症候群の併発も報告されているため,積極的に手術を行うべきである.

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