抄録
鈍的胸部外傷による縦隔内気管損傷に対して開胸修復術を行った.症例は63歳, 男性.1994年3月28日, 機械に胸部をはさまれて受傷した.胸部X線写真で縦隔気腫を認め, 胸部CTで縦隔気腫ならびに気管膜様部の断裂像を認めた.気管支鏡では気管分岐部直上の気管膜様部に, 約4軟骨輪にわたり縦走する裂創を認めた.3月31日手術を行った.右開胸により気管を露出し, 膜様部裂創約3.5cmを5-0ポリグリコネート・モノフィラメント糸で縫合した.術後経過は良好で, 気管支鏡所見も問題なく, 術後40日目に退院した.現在術後2年であるが狭窄などの異常所見はない.