日本呼吸器外科学会雑誌
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両側自然気胸手術症例の臨床的検討
近藤 薫浦上 年彦春日井 敏夫加藤 譲司
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1997 年 11 巻 6 号 p. 699-703

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抄録

自然気胸手術194症例231手術中両側気胸は51例 (26.3%) で, その内訳は両側同時気胸5例 (2.6%), 両側異時気胸46例 (23.7%) であった.低年齢層ほど両側気胸の可能性が高い傾向にあり10歳代症例は28例 (45.9%) と有意に高率であった.両側同時気胸は3例 (60%) に胸腔鏡下両側一期的手術を施行した.一方両側異時気胸において一側手術後に対側気胸が発症した症例は32例 (16.9%) であり10歳代症例は18例 (31.0%) であった5初回手術時に対側にも既往歴のある20症例のうち一側手術後に対側に気胸を再発した症例は6例 (30.0%) であり, その内10歳代症例は11例中4例 (36.4%) であった.対側手術が必要でなかった症例も多く両側異時気胸に対する対側の予防的手術は慎重に考える必要がある.術側術後再発は両側気胸症例が10側 (13.9%) で, 一側気胸症例が9側 (7.4%) であり両側気胸症例に多い傾向にあった.両側気胸や一側気胸でも10歳代症例の胸腔鏡下手術に際しては外科的胸膜癒着術を追加したほうがよい.

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