日本呼吸器外科学会雑誌
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末梢発生の臨床病期I期肺癌切除例の検討
松岡 勝成伊東 政敏上野 陽一郎五十部 潤小林 孝暢近藤 展行
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キーワード: 肺癌, 末梢肺癌, 臨床病期I期
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1997 年 11 巻 6 号 p. 730-735

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抄録

近年, 胸腔鏡下手術が広く行われるようになり, 悪性腫瘍に対しても胸腔鏡下肺葉切除などが行われつつある.しかし, 胸腔鏡下手術では開胸手術に比べ, 縦隔リンパ節郭清は手技的に困難である.われわれは, 肺悪性腫瘍手術に際してのリンパ節転移に関して, 当院にて切除を行った末梢発生の臨床病期I期肺癌症例について検討を行った.1984年1月から1995年12月までに当院にて切除を行った末梢発生の臨床病期I期の肺癌症例は107例で, 全肺癌切除例の29%であった.腺癌症例では20mm以下の小型肺癌でもN2症例が認められたが, 扁平上皮癌症例では20mm以下のものにはN2症例は認められなかった.また, 下葉発生症例では上縦隔リンパ節転移は認めず, 20mln以下の扁平上皮癌症例, 下葉発生症例などが, 胸腔鏡下手術の良い適応となると思われた.

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