日本呼吸器外科学会雑誌
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胸腔鏡下に掻爬ドレナージ術を施行した小児急性膿胸の一例
中村 広繁伊藤 則正谷口 雄司田中 宜之石黒 清介森 透
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1997 年 11 巻 6 号 p. 755-759

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抄録

小児急性膿胸に対して胸腔鏡下に掻爬ドレナージ術を施行した.症例は3歳女児で肺炎に併発したγ一溶連菌感染膿胸に対して約2週間の胸腔ドレナージ及び胸腔洗浄を施行したが, 肺膨張が不良のため全麻下に胸腔鏡下手術を行なった.胸腔内は背部から横隔膜上にかけて壁側及び臓側胸膜に白色膿性のフィブリン塊を認め, 隔壁を形成していた.洗浄しながら, 膿性塊を掻爬, 吸引して胸膜面を清浄化した後, 16Frドレーンを2本挿入して手術を終了した.術後も胸腔洗浄を続け膿胸腔は消失し肺炎像も軽快した.本例は, 小児ではあったが径5mmの器具を使用しながら, 胸腔鏡下に膿性塊を確実に取り除き, 適切な胸腔ドレナージが施行できた点で胸腔鏡下手術が有用であったと考える.

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