抄録
1977年から1994年の間に外科治療を施行した重症筋無力症 (MG) 30例について, その治療効果を寛解率と有効率の観点から検討した.全体の最終効果は寛解率20.0%, 有効率76.7%であり, 術後長期間を経過した症例ほど高い治療効果がみられる傾向にあった.手術効果と種々のMG関連背景因子との関連性について検討すると, 性別, Ossermann病型, 抗アセチルコリン受容体抗体価, 胸腺腫の有無手術術式においては, 治療効果に有意差を見い出せなかった.しかし, 手術時年齢について検討すると, 40歳未満の若年者の有効率は90.8%であり, 40歳以上の68.4%より有意に高値であった.また, 術前の病悩期間別に検討すると, 有効率は1年未満 (91.7%), 1~3年 (76.9%), 3年以上 (40.0%) であり, 病悩期間の短い症例ほど有意に高い有効率をみた.以上の結果より, MG発症後早期の胸腺摘出術が望ましいと考えられた.