日本呼吸器外科学会雑誌
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胸腔鏡下に摘出した縦隔嚢状リンパ管腫の1例
山中 晃藤本 利夫平井 隆
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1998 年 12 巻 6 号 p. 726-729

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抄録
検診CTで初めて発見され, 胸腔鏡下手術で摘出した縦隔嚢状リンパ管腫の1例を経験した.症例は56歳男性で, 検診CTで上縦隔に異常影を指摘された.胸部MRI検査から縦隔嚢胞が疑われ, 胸腔鏡下摘出術を行った.嚢胞は2cm大で, 気管前方, 上大静脈の左背側, 奇静脈の頭側の縦隔脂肪組織内に存在していたが, 局在を同定するのは比較的困難であった.嚢胞は単房性で粘性の低い透明な液体を含み, 嚢胞壁を遺残することなく完全摘出することができた.病理組織学的には内壁に単層の内皮細胞を有する嚢状リンパ管腫と診断された.第11病日に退院, 術後32ヵ月後再発の徴候はない.胸部CTで発見された早期のリンパ管腫に対し胸腔鏡下に摘出した報告例はほとんどみられず, ここに症例を呈示した.
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