日本呼吸器外科学会雑誌
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新たに開発された合成吸収性 sealing 剤 (ADVASEAL TM) による肺断端処理法の有用性に関する実験的研究
高木 正道吉田 和彦三澤 健之秋葉 直志山崎 洋次
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1999 年 13 巻 2 号 p. 108-113

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抄録

肺切除術後の肺瘻予防として, さまざまな方法が試みられているが満足のいく結果ではない.われわれは食肉用豚を用いて自動縫合器による肺断端モデルを作製し, 新合成吸収性sealing剤 (ADVASEALTM) の有用性について検討した.作製された肺断端部位をA群 (無被覆群 : n=8), B群 (フィブリン接着剤被覆群 : n=8), C群 (ADVASEALTM被覆群 : n=8) の3種類の方法で処理して耐圧力を測定し比較した.A群耐圧力 : 24.4±3.1mrnHg, B群耐圧力 : 36.9±6.3mmHg, C群耐圧力 : 65.4±8.3mmHgであった.すべての群間で有意差を認めた (p<0.05).ADVASEALTMは生体に吸収性であるが適用量では毒性は認められない.肺断端処理法としてADVASEALTM被覆法はフィブリン接着剤被覆法より優れた補強効果を有し術後の肺瘻予防効果が期待できる.

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