日本呼吸器外科学会雑誌
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重症筋無力症における病悩期間の臨床的検討
初診から確診の期間について
倉重 眞澄川井 邦彦石橋 弘成吉田 祐一炭山 嘉伸
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1999 年 13 巻 2 号 p. 114-121

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抄録

重症筋無力症 (以下MGと略す) の胸腺外科80例 (胸腺腫非合併群55例・合併群25例) に聞き取り調査を行い, 病悩期間の中で「初診~確診」期間を検討した.「初診~確診」期間は22.0ヵ月 (胸腺腫非合併群36.8ヵ月, 合併群4.2ヵ月) で, 「初診~疑診」期間21.4ヵ月, 「疑診~確診」期間0.6ヵ月の結果から, 有効な病悩期間短縮の目標は疑診までの期間である.受診施設・診療科は, 初診では眼科など対症状的な診療所受診が多く, 疑診・診への経過に伴い国公立・大学病院の内科・神経内科へと紹介される傾向があり, 疑診まで2.71施設, 確診まで3.17施設が費やされていた.初診時診断は「MGである・MGの疑い」32%・「正常」16%・「非言及」41%であった.胸腺腫合併群の「初診~確診」期間は非常に短く, 腫瘍がMG疑診の根拠と成り得た例を除外しても傾向は変わらず, 胸腺腫非合併群においても合併群と同程度に「初診~確診」期間の短縮が可能と言える.「初診~疑診」期間の長期化は, 誤診・症状の軽快・有症状非受診・多施設受診・別疾患治療などが理由であった.「初診~疑診」期間の短縮には, MG発症後に受診されやすい診療科に対してMG情報を, もっと多く発信する必要がある.

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