日本呼吸器外科学会雑誌
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縦隔海綿状リンパ管腫の1治験例
片山 芳彦鈴木 仁之
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1999 年 13 巻 2 号 p. 126-131

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抄録

縦隔腫瘍の中で稀な疾患である縦隔海綿状リンパ管腫の1例を経験した.
症例は56歳女性, 腹痛治療中に胸部CT検査を施行され上縦隔に弱いながらも造影される最大径3cmの辺縁に石灰化巣を伴う腫瘍を認めた.胸部MRI検査にて同腫瘍はT1強調画像で筋肉と同程度の低信号を, T2強調画像で強い高信号を示し, 造影剤静注後のT1強調画像でわずかながら造影された神経原性腫瘍との診断下にcollar incision にて腫瘍摘出術を行ったが, 病理組織学的検査にて海綿状リンパ管腫と診断された.縦隔に発生した海綿状リンパ管腫は稀な疾患で, 本邦において自験例が9例目であるが, 術前に診断がついた症例はなく, 全例外科的摘出後に病理検査にて診断されており, その術前診断は困難である.

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