日本呼吸器外科学会雑誌
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急性呼吸困難により緊急手術を要した縦隔内甲状腺腫瘍の1例
松岡 英仁坪田 紀明吉村 雅裕宮本 良文安藤 幸二
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1999 年 13 巻 2 号 p. 161-164

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抄録

急性呼吸困難により緊急摘出術を要した縦隔内甲状腺腫瘍の1例を経験した.症例は78歳の女性で, 1996年5月より頚部腫大を自覚していた。翌年2刀より嚥下困難5月より呼吸困難が発症した.他院にて精査中, 症状が急に増悪したため気管内挿管の状態で当院に転送された.画像診断で縦隔腫瘍の増大による気管圧迫を認め, 緊急手術にてこれを全摘出した.腫瘍は14×13×13cm, 200gの被膜に被われた多結節状の縦隔内甲状腺腫瘤であった.病理組織診では甲状腺悪性リンパ腫と診断され, 一部に橋本病を疑わせる所見が認められた.術後, 症状は劇的に改善し, 術後14日目に軽快退院した.高齢のため補助療法は施行しなかったが, 術後1年目の現在, 再発なく, 経過良好である.重篤な気道圧迫症状を伴って組織的にも興味があった甲状腺悪性リンパ腫の1手術例を報告した.

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