日本呼吸器外科学会雑誌
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原発性肝細胞癌両側肺転移の1切除例
山田 典子坂尾 幸則堀田 圭一夏秋 正文伊藤 翼
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1999 年 13 巻 2 号 p. 175-180

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抄録

症例は77歳男性.1993年11月原発性肝細胞癌 (HCC) の診断で肝右葉切除術を施行した.術前α-フェトプロテイン (AFP) が異常高値を示した中分化型, Edmondson II型のHCCで, Stage3であった.術後5ヵ月よりAFPの再上昇を認め, 残肝再発を疑い1994年9月抗癌剤動注療法を施行した.しかしAFPは低下せず, さらに胸部X線写真, CTにて右肺S5に3個, 左肺S3に1個のcoin lesion が出現したため, HCC肺転移と診断した.全身検索の後, 肝内転移や他臓器転移を疑う所見がみられないため1995年7月に右中葉切除+左上葉部分切除術を施行した.病理組織診断はHCCの肺転移であった.術後AFPは正常化し, 2年7ヵ月後の現在まで肺, 肝ともに再発の兆候は認められていない.

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