日本呼吸器外科学会雑誌
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Chronic Expanding Hematoma との鑑別が困難であった結核性膿胸の一例
金 慶一高橋 秀暢伊藤 哲思小中 千守加藤 治文
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1999 年 13 巻 5 号 p. 649-653

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抄録
症例は62歳男性, 1996年8月より徐々に増悪する胸背部痛を主訴に翌年10月1日当院紹介となる.胸部X線にて左中下肺野に巨大腫瘤影を認めた.胸部CT検査でも同部位に境界明瞭であるが, 内部は不均一な巨大腫瘤影を認めた.膿胸の増悪あるいは胸腔内腫瘍を疑うも確定診断にいたらず, 同年10月20日診断と治療をかねて左胸膜肺切除術を施行した.術後病理診断では結核性胸膜炎による膿胸と診断された.本症例は症状発現までに42年という長期経過を経ており, 既往に結核性胸膜炎を持つ.画像的にCEHと類似している部分を認める.CEHもまた慢性に経過し, 徐々に発現する.本症例は病理所見にて出血病変は認めなかったが, 臨床的にはCEHの特殊型であることが示唆された.
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