日本呼吸器外科学会雑誌
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胸腺腫摘出後に重症筋無力症を発症した3症例
安田 冬彦高尾 仁二蔡 銘金光 真治島本 亮小野田 幸治下野 高嗣田中 國義新保 秀人矢田 公並河 尚二
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1999 年 13 巻 7 号 p. 883-887

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抄録

今回我々は胸腺腫摘出後に重症筋無力症を発症した3症例を経験したので報告する.症例1は42歳, 女性で前胸部痛を主訴に近医を受診.胸部異常陰影を指摘され, 精査の結果胸腺腫と診断され, 拡大胸腺-胸腺腫摘出術が施行された.2年後に四肢の関節痛, 筋力低下を来たし重症筋無力症及び強皮症と診断され現在ステロイド投与中である.症例2は68歳, 女性で胸腺腫摘出術施行後, 無症状であった.しかし8年後にC型肝炎に罹患しインターフェロンを投与したところ, 筋無力症状が顕性化し, 重症筋無力症と診断され, 遺残胸腺を含めた拡大胸腺摘出術が施行された.症例3は34歳, 男性で検診にて胸部異常陰影を指摘され精査の結果, 奇形腫の疑いにて腫瘍摘出術が施行された.しかし約1ヵ月後に筋無力症状が出現し, クリーゼとなり人工呼吸管理を要したため初回手術から2ヵ月後に遺残胸腺を含めた拡大胸腺摘出術が施行された.胸腺腫摘出後重症筋無力症に対する治療方針としては, 初回手術時に拡大胸腺・胸腺腫摘出術が施行されていない症例においては再手術による拡大遺残胸腺摘出術を考慮すべきと考えられる.

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