1999 年 13 巻 7 号 p. 888-892
症例は54歳の男性である.過去に多発性皮膚神経鞘腫および脊髄神経鞘腫の手術歴があり, 神経鞘腫症と診断されている.胸部X線写真で異常陰影を指摘され, 胸部CT, MRIにより両側多発性胸壁腫瘍と診断した.胸腔鏡併用により右4個, 左2個の腫瘍を1期的に摘出した.腫瘍は左右ともそれぞれ1本の肋間神経から多発性に発生しており, 病理組織学的にすべて神経鞘腫と診断した.神経鞘腫症に肋間神経由来の神経鞘腫の合併は本例以外に報告がなく, また胸壁神経鞘腫としても両側多発性に発生したのは本例以外に報告がなく, 極めてまれな症例と思われた.