日本呼吸器外科学会雑誌
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肺挫傷を伴いPCPS使用下に肺葉切除術を施行した外傷性肺破裂の1例
鉢呂 芳一田中 明彦小林 武志佐藤 諦
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2000 年 14 巻 7 号 p. 803-807

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抄録
多発外傷を有する患者に対する心肺補助を目的とした体外循環装置の使用は, 今までその出血助長作用のためほとんど適応外とされてきており, 近年ヘパリンコーテング回路が臨床に導入され始めているが, その使用報告例は未だ少ない.症例は14歳の男性で, 両側肺挫傷および血気胸, 脾臓破裂, 骨盤骨折等の多発外傷を罹患していた.まず脾臓破裂, 骨盤内出血に対し, 経カテーテル的に塞栓術を施行し同部位の止血に成功したが, 数時間後CT撮影時に急激な血圧低下に続いて心停止に陥った.直ちに心肺蘇生を行い心拍は再開したが, その直後から左胸腔ドレーンチューブより大量の出血を認め, 胸部CT所見等により肺破裂と診断した.重度の換気不全および血圧低下のため, 直ちにヘパリンコーティング回路を用いた経皮的心肺補助装置を装着後左下葉切除を施行し, 術後出血に難渋することもなく救命することに成功した.
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