日本呼吸器外科学会雑誌
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術前下大静脈フィルター留置が有効であった多血症肺塞栓症合併原発性肺癌の1手術例
河井 秀仁高尾 仁二山本 希誉仁片山 芳彦木村 誠小野田 幸治下野 高嗣田中 國義新保 秀人矢田 公
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2000 年 14 巻 7 号 p. 812-817

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抄録
症例は65歳男性で, 右下肢の腫張疼痛を主訴に近医を受診し, 深部静脈血栓症と診断された.血液検査の結果, 真性多血症と診断され, 肺換気血流シンチでは右下葉に換気欠損を伴わない血流欠損を認め, 肺塞栓症を合併していた.胸部CT検査では, 左S6に3.5×2.5cmの腫瘤を認め, 気管支鏡検査にて非小細胞癌と診断された.術前潟血1, 200ml, およびGreenfield下大静脈フィルター留置と抗凝固療法を行った後, 左下葉切除+R2bを施行し, 術後合併症なく経過した.
肺塞栓症は, 術後の重篤な合併症の一つであり, 広範囲の塞栓では突然死もみられる.本症例のように, 術前肺塞栓症を合併した患者においては, 周術期の肺塞栓症の再発予防が特に重要であり, 予防的に下大静脈フィルターを挿入することを含め, 厳重な周術期管理が必要と思われた.
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