日本呼吸器外科学会雑誌
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同一肺葉内に発生した原発性肺癌と胃癌肺転移巣に対して同時切除を施行した1例
田中 俊樹金田 好和藤田 信弘上田 和弘坂野 尚佐伯 浩一松岡 隆久須藤 学拓林 雅太郎善甫 宣哉江里 健輔
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2000 年 14 巻 7 号 p. 823-826

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抄録

症例は73歳, 男性.既往に1996年3月に胃癌に対し胃全摘術 (D2郭清) が施行されている.この時の病理診断は中~低分化型腺癌, ss, n2 (+), stage IIIaであった.1999年9月に経過観察のため撮影された胸部CTにて右S8に直径15mmと6mmの結節影を指摘された.15mmの結節には小棘形成と胸膜陥入を, 6mmの結節には胸膜嵌入を認めた.B8bの気管支擦過細胞診でclassVの診断を得た.以上よりT4N0M0の原発性肺癌と診断され右下葉切除術と縦隔リンパ節郭清が施行された.術後病理では, 15mmの結節が胃癌原発巣に酷似した低分化型腺癌であるため胃癌の肺転移, 6mmの結節は原発性肺癌 (気管支肺胞上皮癌) と診断された.また肺門部リンパ節に胃癌からの転移を認めた.胃癌術後患者に多発肺腫瘤を認めた場合, 原発性と転移性の両者を念頭におき手術術式を選択すべきである.

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