2001 年 15 巻 1 号 p. 3-10
開胸手術56例で経皮的酸素飽和度 (SpO2) 測定を術前から術後に行い, 夜間の一過性低酸素血症 (hypoxemic episode A: SpO2の90%未満への低下が最低で10秒間持続する低酸素血症) の頻度, 好発時期, リスクファクター, 合併症につき検討を行った.さらに簡易式無呼吸レコーダーで7症例の, 無呼吸のタイプを検討した.術後は酸素投与により, SpO2の平均は術前より高値であったが, hypoxemic episode Aは62.5%に発症した.これを予測する有用なリスクファクターはなく, 好発時期は術後第3病日であった.hypoxemic episode Aが多発した高齢者3例に術後譫妄が発症し, その関与が疑われた.無呼吸レコーダーの測定では閉塞性無呼吸を85.7%に認め, より重篤なhypoxemic episodeに関与していた.開胸術後に, 予測不可能な夜間hypoxemic episodeが発症する可能性を考慮した術後管理が必要であろう.