日本呼吸器外科学会雑誌
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合成吸収性シーリング剤 (ADVASEALTM) による肺切除断端処理の有効性と適応
佐藤 之俊土屋 繁裕奥村 栄三好 立飯島 京太中川 健折野 公人
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2001 年 15 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

肺悪性腫瘍手術時において, 新しく開発された合成ハイドロゲル剤 (ADVASEALTM) の肺断端処理における被覆・補強効果と適応を検討した.対象は1999年8~12月までに開胸にて肺切除を行った患者のうち28例.肺切除終了時に, 空気漏出部位とその程度を記録した後, 本剤にて漏出部を被覆した.有効性を閉胸直前のシーリングテスト結果とドレーンの空気漏出期間で評価し, 安全性は作動不良の有無と因果関係が否定できない人体への影響で評価した.全適用箇所はstaple線38箇所, 縫合線17個所, 癒着剥離部10箇所, 切開部32箇所であった.Staple線領域と癒着剥離領域では全例で空気漏出が消失し, 縫合線領域でも82.3%で消失した.有効率は92.9%であった.合併症は, 遷延した肺痩5例, 発熱3例, 肺炎1例, そして肝障害1例であった.本剤は肺切除時のとくにstaple線, 癒着剥離ならびに縫合線の各領域における適用で同部からの空気漏出防止に効果的である.

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