日本呼吸器外科学会雑誌
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血気胸の放置が原因と考えられた線維胸に, 膿胸を合併し, 肺剥皮術を施行した一例
伊藤 正夫吉岡 洋玉木 修治横山 幸房今泉 宗久
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キーワード: 線維胸, 肺剥皮術, 血気胸
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2002 年 16 巻 2 号 p. 184-187

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抄録
血気胸の長期放置により線維胸を呈した1例を経験した.症例は28歳の男性で, 1998年6月に胸痛, 発熱で近医にて感冒として内服治療を受けた. 2カ月後, 胸部X線写真で左肺の虚脱と胸水貯留を認め, 当院呼吸器科を受診した. 胸膜炎の診断で入院. 胸腔穿刺にて血性胸水を認め, 持続胸腔ドレナージを行ったが虚脱肺の再膨張を得られず, 逆行性感染による膿胸を合併した. 9月18日外科転科となり, 胸腔鏡下洗浄ドレナージを施行した. 約1カ月後, 胸水からの排菌は消失したものの, 発熱は続き膿胸腔が残存したため, 肺剥皮術を行った. 充分な肺の再膨張が得られ, 術後経過は良好で11月20日に退院となった. 血気胸原因の線維胸では容易な肺の剥皮が期待できることから早期の手術を考慮すべきと考えられた.
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