日本呼吸器外科学会雑誌
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嚢腫壁内に副甲状腺組織を認めた頸部胸腺嚢腫の一切除例
山井 礼道沖津 宏武知 浩和岡田 雅子佐尾山 信夫吉田 沖
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キーワード: 胸腺嚢腫, 副甲状腺, 頸部
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2002 年 16 巻 5 号 p. 650-654

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抄録

症例は43才女性, 2年前より前胸部の圧迫感を自覚, 徐々に症状が頻回となったため, 1998年12月, 精査目的で当院受診となった.頸部MRIにて左頸部から前縦隔にかけて, T1強調画像でlow, T2強調画像でhigh intensityの腫瘤陰影を認めた.echoではhypoechoicに描出され, 穿刺吸引細胞診で, 線毛円柱上皮を多数認めた.嚢胞性疾患を考え, 確定診断目的で手術施行.手術所見で嚢腫は胸腺左葉と連続しており, 胸腺左葉と共に嚢腫を切除した.病理所見で嚢腫周囲はハッサル小体を含む胸腺組織に覆われ, 又, 嚢腫内腔は一層の線毛円柱上皮で被われ, 胸腺嚢腫と診断した.加えて, 嚢腫壁に接して副甲状腺組織も認め, これは原基の移動途中に迷入したものと考えられた.今回, 胸腺嚢腫の嚢腫壁内に副甲状腺組織を認めた稀な頸部胸腺嚢腫の一切除例を経験した.

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