日本呼吸器外科学会雑誌
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18年の長期経過をたどった気管支内異物による反応性肉芽腫の一例
後藤 正司岡本 卓亀山 耕太郎林 栄一山本 恭通黄 政龍横見瀬 裕保
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2003 年 17 巻 2 号 p. 146-150

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抄録

18年の長期経過をたどった気管支内異物による反応性肉芽腫の一例を経験した.症例は25歳男性.健康診断の胸部X線写真で, 右下肺野の帯状影を指摘された.気管支鏡検査で右B9+10を閉塞する腫瘤を認めた.生検で肉芽腫と診断.腫瘤の末梢側の観察が不可能で悪性疾患の合併も否定出来ず, 開胸術で腫瘤を摘出した.腫瘤は有茎性ポリープ様で炎症性肉芽腫と診断した.術後8日目の胸部X線写真で術前と同様の無気肺が出現, 気管支鏡検査でも術前と同様に腫瘤を認めた.生検鉗子で肉芽腫を可及的に摘出すると, 開存したB10bに3.0×2.0cm大のビニール片を認めこれを摘出した.以後, 肉芽腫の再発は認めていない.仔細に問診すると, 7歳時のパン食い競争後に強い咳噺, 胸痛を自覚していた.今回の気管支内異物は, この際誤嚥したビニール片と考えられこの異物による物理的刺激が反応性肉芽腫の成因と推察された.

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