症例は63歳女性.健診で右下肺野の腫瘤影を指摘されて2002年6月当院を受診した.胸部CTでは, 右S10の不整形, 6cm大の腫瘤影と, 右中下葉間部にも2cm大の腫瘤影を認めた.MRIではT1 low, T2 highで充実性, 内部信号は不均一な腫瘤影であった.気管支鏡で確診に至らず, CTガイド下生検では軟骨組織が採取された.巨大腫瘤であり診断確定が必要と考え, 胸腔鏡下手術を施行した.腫瘤は白色, 分葉結節状で, 術前中下葉間部に存在すると思われていた腫瘤は壁側胸膜上に存在した.他にも同じ性状の小結節が胸腔内に散在していた.巨大腫瘤と壁側胸膜上の結節の一部を切除し, 迅速病理診に提出したところ, 結果は軟骨性過誤腫であった。肺内に多発した非軟骨性過誤腫の報告は散見されるものの, 本症例のように軟骨性過誤腫の多発例で, 肺内にとどまらず壁側胸膜にも無数に多発するという報告は非常に稀である.