日本呼吸器外科学会雑誌
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CA19-9の産生を認めた胸腺腫の1例
能勢 直弘小舘 満太郎
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2004 年 18 巻 2 号 p. 159-162

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抄録

症例は60歳男性.胸部CT異常を指摘され来院.CTで径3×2cmの前縦隔腫瘍を認めた.また血清腫瘍マーカーを測定したところCA19-9が116.7U/mlと高値を示していた.胸腺腫を疑い, 胸腺, 胸腺腫摘出術を施行した.病理組織学的にはnon-invasive thymoma, 正岡分類I期, WHO分類におけるType B2 thymomaと診断され, 悪性所見は認めなかった.免疫染色では腫瘍細胞にCA19-9の散在を認め, CA19-9産生胸腺腫と考えられた.術後肝, 胆, 膵, 消化管の精査を行ったが異常は認めなかった.術後, 血清CA19-9値は低下し, 術後15日目には14.3U/mlと正常化した.
CA19-9は消化器系癌で高値を示すことが多いが, 胸腺腫でも上昇する症例がある.本症例においては血清CA19-9が術後再発のマーカーとなる可能性が示唆された.

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