日本呼吸器外科学会雑誌
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肝前性門脈圧亢進症による気管支静脈瘤の一例
池田 宏国永廣 格戸田 大作安藤 陽夫清水 信義
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2004 年 18 巻 7 号 p. 793-796

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抄録

今回われわれは, 肝前性門脈圧亢進症に伴う気管支静脈瘤の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は60歳男性, 繰り返す喀血と右肺巨大腫瘤の精査のため当科紹介となった.胸部X線・CT・MRIにて右胸腔に21×11cmの巨大な腫瘤を認め, 画像所見・臨床経過から慢性膿胸と診断した.胸腹部造影CT・MRIで胸部食道から胃噴門部にかけて著明に発達した側副血行を認め, また肝門部での門脈狭窄と肝外門脈の拡張も認めた.胃食道内視鏡では下部食道から胃噴門部にかけて全周性の食道静脈瘤を, 気管支内視鏡では気管下部から両側主気管支にかけて膜様部を中心とした非拍動情生・暗赤色・薄壁の血管拡張所見を認めた.以上の所見から, 肝門部門脈狭窄による肝前性門脈圧亢進症に伴った気管支静脈瘤と診断した.繰り返す喀血は静脈瘤からの出血と考えられた.

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