日本呼吸器外科学会雑誌
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乳癌の治療経過中2年半の間変化を認めなかった胸腺脂肪腫
岡本 卓中野 淳三崎 伯幸後藤 正司桝屋 大輝中島 尊劉 大革亀山 耕太郎石川 真也山本 恭通黄 政龍横見瀬 裕保
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2004 年 18 巻 7 号 p. 810-815

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抄録

症例は44歳女性.乳癌の治療のため2年半胸腺脂肪腫の経過をみたが, 増大傾向はなく乳癌の経過も良好なため入院となった.胸部CTでは, 前縦隔に大きさ4.5×3.0cmの境界明瞭な腫瘤を認め, 内部のdensityは均一で-111HU, MRIではT1強調で高信号域, T2強調で高信号域を示した.胸骨縦切開で, 胸腺および胸腺脂肪腫摘出術を施行した.腫瘤は胸腺右葉下極に存在し, 5.5×3.0×4.5cm大で弾性軟で薄い被膜に覆われ, 割面は黄色充実性で均一であった.摘出した胸腺および胸腺脂肪腫総重量は60gであった.病理学的にはハッサル小体を有する胸腺内に, 薄い線維性被膜に被われた充実性腫瘤を認め, 腫瘤内では成熟した脂肪細胞の結節性増殖を認めた.約2年半胸部CTで変化を認めなかった胸腺脂肪腫につき文献的考察を加えて報告する.

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